新聞記事等の中、治療研究関係ニュースを記しています。

異常プリオン解く分子発見 BSE、ヤコブ病治療に道
[ 共同通信

 牛海綿状脳症(BSE)やクロイツフェルト・ヤコブ病などの原因となるタンパク質「異常プリオン」の立体構造を素早く解きほぐす分子を、国立精神・神経センター神経研究所(東京都小平市)の八谷如美研究員らが20日までに発見した。
 BSEやヤコブ病などのプリオン病は、折れ曲がったり巻いたりした正常プリオンが、さらに複雑な構造になった異常プリオンに変形、脳の中に蓄積して発症する。この構造がほぐれれば体内の酵素で分解されるため、プリオン病の治療法の開発に役立ちそうだ。
 八谷研究員らは、酵母の細胞質の中に、細胞分裂の際に細胞の骨格をほぐす、はさみのような形の分子を発見、アンフォルジンと命名した


ヤコブ病の症状改善、血栓予防薬で成功…東北大チーム
(読売新聞)[2月7日1時41分更新]

 急激に痴ほう症が進み死に至る難病「クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)」患者の英国男性(19)の脳内に血栓予防薬を投与し、症状を改善させることに、東北大の堂浦克美教授(プリオン分子解析)らの研究チームが成功したことが、6日分かった。
 この男性は、BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)からの感染で起きる「変異型ヤコブ病」の患者で、発症から約2年4か月たつ。
 自発呼吸はあるものの、唾液(だえき)を24時間吸引しなければならないなど植物状態に近かった昨年1月、英国の病院で、血栓予防薬「ペントサン・ポリサルフェート」を脳内に持続的に投与するための小型の注入装置を、腹部に埋め込む手術を受けた。
 堂浦教授のアドバイスを受け、リバプール大の医師らが手術を行い、在宅で治療を続けたところ、男性は2、3か月後から徐々に「ママ」など簡単な単語を話せるようになった。さらに、話しかけている人物に視線を向けたり、手を握ると強く握り返したりするなど、症状の悪化が止まり、やや改善しているという。
 英国では、この男性以外に、4人のヤコブ病患者への治療が昨年10月から始まっている。国内でも福岡大(福岡市)が臨床応用の検討を進めているという。
 ヤコブ病患者は日本国内で約200人いるが、これまで効果的な治療法がなかった。堂浦教授は「最適な投薬量を見つける課題が残っているが、感染後早い段階でこの治療を始めれば、原因のプリオンの増殖を抑え、患者が治療を受けながら社会復帰できる可能性もある」と話している。
 厚生労働省厚生科学審議会CJD等委員会委員の水沢英洋・東京医科歯科大教授の話「劇的な改善はしていないが、強い副作用も報告されておらず、患者にとっては一つの希望だと言える」


ヤコブ病の症状改善に成功 東北大の治療法、英患者で
(共同通信)[2月6日15時58分更新]

牛海綿状脳症(BSE)の感染などで起こるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の患者の脳内に血栓予防薬を投与して症状を改善する治療に、堂浦克美東北大教授らのグループが6日までに成功した。
 英国の男性患者(19)に実施したところ、植物状態に近かったのに1年後には、簡単な指示に応じたり単語をしゃべったりするまでに回復。国内でも、同治療を実施するためのの態勢づくりが始まった。
 ヤコブ病は、痴ほう症状が急速に進んで死に至る難病。有効な治療法は、これまでなかった。
 堂浦教授は「最適な投与量を見つけるなど課題は残っているが、動物実験の結果から、早い段階で投与すれば効果はもっと期待できる」と話している。


BSE原因物質、分解力強い酵素・鹿児島大の研究班発見
2003年3月16日/日本経済新聞 朝刊

 BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)の原因となり、無害化処理が難しいたんぱく質「異常プリオン」を分解する酵素を、鹿児島大の研究班「BSE対策プロジェクト」が発見したことが15日、分かった。 昨年11月に農業技術研究機構動物衛生研究所(茨城県つくば市)と明治製菓の研究グループが発見した酵素に続き国内2例目だが、さらに強い分解力を持っている。21日に鹿児島大で開くシンポジウムで発表する。>狂牛病TOP 


BSE・ヤコブ病の治療へ一歩 マウス実験で効果
2003.03.10 Web posted at: 18:49 JST  - CNN/AP

 マウスに牛海面状脳症(BSE、いわゆる狂牛病)の原因物質を注射しても、特定の抗体を投与し続ければ発症を抑えることができるとの研究結果を、英国の研究チームがこのほど発表した。抗体の効果が立証されれば、人間のクロイツフェルト・ヤコブ病の治療にも役立つ可能性がある。

  英インペリアル大のシモン・ホーク氏らが実験に成功し、英科学誌ネイチャーの最新号に成果を発表した。ホーク氏らの研究チームはまず、マウスの腹部にBSEやヤコブ病の原因となるタンパク質、異常プリオンを注射。1週間から30日後に、プリオンと結びつく抗体の投与を開始した。

  BSEなどの「プリオン病」は、異常プリオンが体内に入ることによって、もとからあった正常なプリオンが次々と異常化し、脳などに蓄積して発症する。異常プリオンを注射したマウスを放置すると、プリオン病の一種であるスクレイピーの症状が現れ、約200日後までに死亡した。一方、抗体の注射を定期的に続けたマウスでは、500日以上経っても異常がみられなかったという。抗体がどのように作用したのか、抗体投与を中止したら発症するのかなどは不明だが、ホーク氏は「実験はヤコブ病治療への第一歩となった」と強調する。

  ただ、人間への応用までには多くの課題が残る。実験では、マウスがいったん発症してしまうと、抗体を投与しても効果がみられなかった。また、抗体はマウスの脳内に直接注射すると作用しにくいことも分かった。それでも、ヤコブ病に感染した可能性が高い場合の予防手段として実用化される見込みはある。「発症前に感染者を見つける方法が開発されれば、応用範囲は一層広がるだろう」と、ホーク氏は力を込める。


細胞内品質管理タンパク質の新作用機構を解明 京大、福島県医大( 2/28)
◆ヤコブ病など治療法開発に道
2003/03/01 (日本工業新聞)
 京都大学再生医科学研究所の永田和宏教授らの研究グループと福島県立医科大学の
和田郁夫教授は、細胞内にあるタンパク質工場で品質管理を担っているタンパク質「EDEM」の新しい作用機構を解明した。米科学誌サイエンスの二十八日号に掲載される。
 細胞のなかで、小胞体は、タンパク質の製造と輸送の機能を持っている。タンパク質は、一本のアミノ酸配列がフォールディング(畳み込み)して決められた立体構造を取ることによって、機能を発現する。畳み間違った不良品が蓄積すると、神経変性疾患や狂牛病などで知られるプリオン病を発症するため、品質管理がきちんと行われ、不良品は分解される必要がある。
 小胞体のなかで、未成熟なタンパク質をきちんと折り畳むためにカルネキシンというタンパク質が働いていることが知られていたが、今回、二〇〇一年に永田グループが発見していた品質管理タンパク質「EDEM」が、カルネキシンと結合して複合体を作り、カルネキシンが不良品と判断したタンパク質がEDEMに受け渡されて分解工程に回ることが分かった。
 品質管理のメカニズムが解明されることで、アルツハイマー病やポリグルタミン病、クロイツフェルト・ヤコブ病(ヒト狂牛病)などに対し、変性タンパク質の分解を促進するなどの治療法開発に一歩近づくことになる。

ヤコブ病治療   臨床試験薬を変更 福岡・九大グループ
「塩酸キニーネ投与」
11月20日 岐阜新聞
 福岡大医学部などの研究グループは19日、致死性痴ほう症のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)患者に対し、抗マラリア薬の「塩酸キニーネ」を投与する世界初の臨床試験を開始した。

 同グループはこれまで、同じく抗マラリア薬の「キナクリン」をヤコブ病治療に用いる臨床試験を実施していたが、キナクリンの副作用が強いため試験を途中で中断せざるを得ず、効果が持続しないため薬を切り替えた。キニーネはキナクリンより副作用が少なく、効果も高いという。

 研究グループは、同大医学部の山田達夫教授、九州大学附属脳神経病研究施設の堂浦克美助教授ら。

 臨床試験は、福岡大病院に入院中の患者2人に対しキニーネを1日3回、0.5グラムずつ鼻腔(びくう)チューブなどを通じて投与する。患者は100万人に1人の割合で発生する原因不明の弧発性ヤコブ病と、汚染された硬膜の移植が原因の患者、それぞれ1人ずつ。計画は10月末の同大医学部倫理委員会で承認された。

 堂浦助教授は、今回の実施に当たり、ヒトの腫瘍(しゅよう)細胞やマウスを使っての実験。ヤコブ病を引き起こす感染性タンパク質「異常プリオン」の増殖を抑える作用はキナクリンよりキニーネの方が強く、感染マウスの延命効果も高いことを確認した。

「異常プリオン」分解する酵素発見
朝日11/21朝刊 
動物衛生研究所(茨城県つくば市)と明治製菓(東京都中央区)は20日、牛海綿状脳症
(BSE)や、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病の原因たんぱく質「異常プリオン」を分解する
酵素発見発見したと発表した。 
異常プリオンは熱や薬品に強く、普通の滅菌処理では無害化出来なかった。手術や
食肉処理に使う器具などの消毒用に、来春の商品化を目指す。 
この酵素は、明治製菓が医薬品用に収集していた数万種の菌の中で、納豆菌の仲間の
土壌細菌「パチレス・リケニフォルミス」が分泌していた。 
菌を培養した上澄み液と異常プリオンを混ぜ、37度Cで一時間おくと、異常プリオンが検出
されにくくなった。

BSE:
原因物質の異常プリオン分解 器具消毒などで実用化へ
[毎日新聞11月20日] ( 2002-11-20-19:23 ) 

 BSE(牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病)などの原因物質とされる異常プリオンたんぱく質を強力に分解して不活性化する新しい酵素を発見したと、動物衛生研究所(茨城県つくば市)と明治製菓の共同研究グループが20日、発表した。当面、異常プリオンに汚染された可能性がある器具の洗浄などの分野で実用化を進めるという。

 研究グループは、約40種類の酵素生産菌が生み出す酵素を対象に、異常プリオンを分解できるかどうか調べた。異常プリオンとして、BSEと同様のプリオン病の一つであるスクレイピーに感染したマウスの脳から抽出したものを使ったところ、土壌細菌の一種であるバチルス属の菌が生産する酵素に分解能力があることを発見した。 【中山信】


ヤコブ病抑制に道
異常プリオン防ぐたんぱく質開発
9月24読売08:37 
  BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)やクロイツフェルト・ヤコブ病の病原体「異常プリオン」による脳神経組織の破壊を防ぐ新しいたんぱく質を、国立精神・神経センター神経研究所などの国際研究チームが開発した。このたんぱく質を体内で作るように遺伝子操作したマウスは、脳に異常プリオンを投与してもほぼ完全に発症を抑えることができた。成果は米科学アカデミー紀要に発表される。
   このたんぱく質は、多くの動物の体内にもともとある「正常プリオン」を部分的に変化させた、「防御型プリオン」と呼べるもの。人や羊は遺伝子に特定の変異があるとプリオン病を発症しにくいことが分かっており、その遺伝子分析データをもとに、同研究所の金子清俊部長とプリオンの発見でノーベル賞を受賞した米国のスタンリー・プルシナー博士らが作製した。
   異常プリオンは正常プリオンの立体構造が組み換わったもの。防御型プリオンは、組み換えを促進する物質を吸収し、間接的に異常プリオンの増殖を防ぐと考えられている。金子部長らは、同様の効果を持つ抗体(たんぱく質の一種)などと組み合わせ、効果的な治療法の開発を目指す。

■ヤコブ病、新薬開発へ
3年で2億6千万円投入 
読売2002年8月29日
 文部科学省が、難病のクロイツフェルト・ヤコブ病の治療薬開発に本格的に乗り出す。本来は膀胱(ぼうこう)炎の治療薬だが、動物実験でヤコブ病への効果を発揮した薬剤「ペントサン」をもとに、新薬の開発を目指す。今年度から3年計画で約2億6000万円を投じ、長崎大付属病院の研究を支援する。
 ヤコブ病は、「異常プリオン」というたんぱく質が蓄積されることで起きる。脳神経が破壊され、早ければ発症から数か月で死亡する。このヤコブ病に対し、動物実験では、ペントサンを脳に直接投与すると、異常プリオンの蓄積を強力に抑えることがわかっていた。しかし、ペントサンは分子サイズが大きいため、実際の人体では血管から脳に入りにくく、効果をほとんど発揮できないことが大きな壁となっていた。
 そこで長崎大の片峰茂教授らは福岡大薬学部と共同で、ペントサンの分子を小さく改良した新薬開発を目指す。血管から脳に入りやすくなれば飲用や注射で使用することが可能になる。
 技術的なめどもある程度得ていることから、2年後の患者への臨床試験を目標としている。新薬の開発に先立って、マラリア治療薬などを使用した臨床試験も予定しており、同病院第一内科((電)095・849・7262)では、全国から患者を受け入れたい考え。
上記記事に対する「治療研究」の解説記事
 ヤコブ病治療におけるペントサンの使用に関して報道で取り上げられておられました長崎大学の片峰茂先生と調漸先生に治験の最新情報を教えて頂きました。      [上田さんに尽力をいただきました。]
 長崎大学では、1、キナクリン+ベラパミルと 2、ペントサン(経口)+ベラパミルの2つの治験を準備されているが、脳への薬剤移行性を高めるための低重合化ペントサンはまだ臨床域には達していないそうです。
 ベラパミルの併用は、薬剤の脳への移行性を高めることを確認しているため肝機能障害などの副作用の多いキナクリンなどの薬剤の用量を抑えるために用いているそうです。
 現段階ではペントサンは欧米で使われている間質性膀胱炎の治療薬である従来型のものを治験では使用するそうです。
 具体的には、はじめに1を行い、無効あるいは薬効の消失が考えられた場合に2のプロトコールへ移行するそうです。
 ご家族あるいは関係者の相談方法としては、できることならメールで事前に情報提供を頂き、その上で電話などによる詳細なご相談やご説明をしたいということです。
 尚、患者さんの病態等勘案した上で治療できない場合もあることは知っておく必要があります。
 もし、相談に結果長崎大学付属病院において治験を受けられると決まった場合、遠方から入院する場合を考え研究費から自宅から空港までの交通費(タクシーでも可)、航空運賃(付き添い1名分も含む)、長崎空港から付属病院までの交通費(タクシー代)を必ずサポートされるそうです。
また、長崎大学付属病院に入院できない場合であっても、かかりつけ医の協力が得られれば、患者さんの入院中の病院において倫理委員会での承認を通した上でプロトコール通り治療することも可能ということです。

しかし、大切な事はどこで治療を受ける場合においても現在の主治医の協力が必須であります。現在の主治医ともよくご相談の上ご検討ください。

■ヤコブ病 幹細胞移植し脳“修復”
札幌医大帯広畜産大 新治療法 動物実験へ 
2002年8月23日 東京読売夕刊
 「異常プリオン」と呼ばれるたんぱく質が蓄積してしまい、脳神経が破壊されるクロイツフェルト・ヤコブ病の患者の脳に、神経組織を修復する幹細胞を直接移植して治療する研究に、札幌医大と帯広畜産大などが乗り出した。動物実験を始めているが、世界でも初とみられる研究で、BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)による人への異常プリオン感染さえ懸念される中、成果が注目される。
 治療は、異常プリオンの毒性を中和する抗体(たんぱく質)を作り出す遺伝子を幹細胞に組み込んで、中枢神経の修復と異常プリオンの排除を同時に狙うというユニークなもの。
 札幌医大では、新津洋司郎教授らが、脳梗塞(こうそく)などを起こしたマウスに多様な成長能力を持つ幹細胞を移植し、記憶力や運動機能を回復させる技術を確立。
 帯広畜産大では、品川森一教授らがBSE研究を通じて異常プリオンの毒性を効率よく中和する抗体を開発しており、両者の得意な技術を持ち寄ったうえで、幹細胞と抗体それぞれ数種類を使って、まず動物実験での成果を確認する。
 マラリア治療薬などにヤコブ病の症状を一時的に改善する効果があることが分かっているが、薬が脳に届きにくいうえ、神経組織を修復する働きはなかった。
 しかし、抗体の遺伝子を組み込んだ幹細胞を脳に定着させられれば、効率的な抗体の投与と神経の再生を進めることが可能となる。

 ヤコブ病:マラリア薬が有効
  6人中4人!  薬害患者も改善!
平成14年2月27日 中日新聞
 福岡大医学部(福岡市)の山田達夫教授らの研究グループが実施していた国内初のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の臨床試験で、患者六人のうち四人の症状に改善がみられるなどの効果が確認された。ヤコブ病は急速に病気が進行し、数年で死亡する難病で、治療法は確立されていない。有効な治療法の確立に向け、今後の研究成果が期待される。
 臨床試験は厚生労働省研究班(班長=堂浦克美九州大助教授)が実施。福岡大では昨年十一月から、抗マラリア剤「キナクリン」の内服療法を始めた。同大病院の入院患者四人と栃木県、奈良県の医療機関の患者各一人の計六人に、一日三回、100mgずつを経口投与した。六人は、国内のヤコブ病患者の九割を占める散発性の五人と、硬膜移植で感染したとされる薬害ヤゴブ病患者一人。
 このうち、症状が比較的軽い四人に何らかの改善が確認された。効果は投与から約十日後に表れ、寝たきりで無反応だった女性患者が「こんにちは」「大丈夫」などと呼びかけに応じたり、目で人の動きを追うようになったりした。寝たきりの患者が上体を起こそうとし、支えがあれば座れるようにもなった。
 ただ、治療開始からニカ月で効果が薄れてきているという。山田教授らは治療開始から三カ月の経過を踏まえ、外部専門家の評価も受け、今後の治療計画を立てる方針。治療を希望する患者があれば受け入れ、さらに臨床データを蓄積していく。山田教授は「効果の持続性に問題があり、投与量増加や複数の薬剤の併用療法なども検討したい」と話している。